旬彩わび助


「何が得意ですか?」
f-Bizに最初に相談に行ったときのことである。センター長小出宗昭さんにこう聞かれたことにとても驚くと同時に、そう質問されたことを忘れられないと、わび助の店主である堀井一秀さんは言う。
なぜ驚いたのか?
それは、独立する際、二人三脚で店を営む奥さまにも、全く同じことを問われたからだ。

堀井さんは、静岡市内にある料亭「喜久屋」を皮切りに、いくつもの日本料理の名店で腕を磨いた。そのキャリアは30年に渡り、料理長を務めた経験が何度もある。
八寸、造り、御椀、焼物、揚物、炊合せ、酢の物、蒸し物といった日本料理の骨子となる料理はもちろん、会席料理もお手の物。寿司も握れるし、鰻だって捌ける。お客さんの眼の前で天ぷらを揚げる“お座敷天ぷら”の経験もある。

だから「何が得意ですか?」と、過去に奥さまに問われたときも、小出さんに問われたときも、答えは同じだった。
「得意なことはないけど、和食のことなら何でも出来る」
たくさんの経験を積み、自らの腕と仕事に磨きをかけてきた人は、得意なことを問われると、皆さん「得意なことはないけど何でもできる」と答えるそうである。得手不得手なく、そこで必要とされる技術を満遍なく持っていることが玄人なのだ。そんなことをうかがわせるエピソードである。

2016年春の新メニュー「花籠」。日本料理の数々がぎゅっと凝縮されていて、とても華やか
2016年春の新メニュー「花籠」。日本料理の数々がぎゅっと凝縮されていて、とても華やか

堀井さんが「わび助」がオープンしたのは、2015年3月1日のこと。
前の職場を辞してから半月ほど。十分な準備期間を設ける間も無く、気付けばお店の一経営者として走り出していた。
「とにかくお客さんに愛されないといけないという気持ちがありました」と堀井さん。和食の店はほかにもある。だからこそ、自分の店でしか味わえない何かが欲しいと考えた。そんな折、取引のある業者で働く方からf-Bizのことを聞いた。興味を持ち、相談に行ったのは「わび助」オープンの翌月、4月のことだった。

お客さまは女性が多い。そして、立地的に、来店されるほとんどの方の交通手段が車である。だから、オリジナルのノンアルコールカクテルを出してみたらどうかという提案を受けた。
早速ノンアルコールカクテルについてインターネットで調べてみると、フルーツがたっぷり入ったものやカラフルなものなど、いろいろなレシピがあることがわかった。
「これなら面白いと思い、イチゴやブルーベリーを入れたり、炭酸を入れたり、自分たちでいろいろ試してみたんですけど、なかなかうまくできなくて」と堀井さん。
そこで、管理栄養士であり、食のマーケティングコンサルタントである中野ヤスコさんとタッグを組むこととなった。

これまでも“スト・オレンジ”や“グレープフルーツ・ティー”など、種類は少ないながらもノンアルコールカクテルの提供はしてきた。実際、ノンアルコールカクテルを注文するお客さまは案外多く、なかには、お代わりされるお客さまもいる。
また、ご縁が重なり、「わび助」で婚活パーティを開催することに。参加する若い女性たちがノンアルコールカクテルを注文して、華やいだ気持ちになってくれればうれしい。
こんな風に、中野さんとの最初のミーティングではさまざまな話をした。
dscf9335
最初のミーティングでの話を元に、「わび助」オリジナルカクテルを考えた中野さん。実際に「わび助」の店内で、ノンアルコールカクテルを作ってテイスティングすることとなった。テーブルの上には、中野さんが用意してきたさまざまな味のシロップやフルーツ、ソーダ類がズラリと並び、次々とカクテルが作られていく。

カラフルでかわいらしいカクテルが次々に出来ていく
カラフルでかわいらしいカクテルが次々に出来ていく

dscf9377
実際にできたカクテルを目の前に、その華やかさに感嘆の声が上がる。そしていよいよ、テイスティングのスタート!

堀井さんご夫妻は、中野さんの説明に興味津々
堀井さんご夫妻は、中野さんの説明に興味津々

ここ数年人気のカクテルはキューバのバハマ発祥の“モヒート”。ラム、ライム、ミントの葉、砂糖を混ぜソーダで割って作る、爽やかな甘みが魅力的な一杯だ。

dscf9374

これは、ラムを使わず、ライムをレモンにアレンジして作った「レモン・モヒート」。レモンの柔らかな酸味とミントの香りが広がる一杯はとても爽やか。たっぷりのレモンとミントのグリーンがかわいく、目にも楽しい。

この日は8種類のノンアルコールカクテルをテイスティングしながら、材料やレシピを確認。ここから実際に提供するオリジナルカクテルを絞り込んでいくこととなった。

「わび助」でしか味わえないノンアルコールカクテルの提供は、4月18日からを予定しているそうだ。

旬彩わび助 http://wabisuke.i-ra.jp/